気になるニュース:副業解禁、主要企業5割 本社調査、社員成長や新事業に期待 労務管理など課題も
2019年5月20日の日経新聞朝刊の1面に上記の記事が記載されました。
今回はこちらの記事の概要と私の見解を述べさせていただきます。
1.記事の概要
日本経済新聞社が東証1部上場企業などのお手企業にアンケートを実施したところ、120社のうち約5割の企業が従業員に副業を認めていることが分かった。
副業を認めている企業は、外部のノウハウを吸収し、人材育成や新事業の開発につなげることを目指している。
一方で、複数の職場で働く従業員の労務管理などの課題も残る。
政府は生産性の低さに対する危機感を持っている。
日本の1時間あたりの労働生産性は17年に47.5ドルで経済協力開発機構(OECD)加盟国36か国中20位になっている。
日本の労働人口は減少傾向にあり、従来の産業構造では競争力が低下する恐れがある。
今年4月にMMD研究所(東京・港)などが1万人を対象に実施した調査では、副業に従事する社会人は13%だった。
副業未経験者でも「副業に興味がある」と答えた人は5割を超えており、社会的な関心は高い。
日本の生産性向上につなげるため、副業普及に向けた仕組みづくりが重要になる。
日経新聞が行ったアンケート結果
副業についてのスタンス
副業のメリット
「社員の成長やモチベーション向上につながる」(76.6%)
「社員のセカンドキャリアの形成に資する」(45.7%)
副業の懸念
「社員の労務管理が困難」(78.7%)
「副業中の労災や不祥事などのリスク」
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2.記事に関する見解
この記事を見て驚いたのは、副業を認めている企業が5割を超えているということです。
こちらの調査の母集団は120社で、東証1部の上場企業数が2,100社強なので、全体を表しているかというのがかなり疑問です。
副業を認めている会社や興味のある会社が回答しているように思えてしまいます。実際に企業名が出てくるのも、ソフトバンクやユニ・チャーム、コニカミノルタなど副業推進として有名な企業ばかりです。
母集団をもう少し増やさないと確実なことは言えないのではないでしょうか。
とはいえ、日本の生産性を高めるために副業を推し進めることは私も大賛成です。
副業を進めることで、成長産業への人材シフトが進む、起業が進むと考えています。
是非、積極的に副業を進めていただきたいと考えています。
現時点で副業を進めていくために、取り組まなければならないと私が考えているのは以下の2点です。
2-1.労働時間管理のありかた
1点目は記事にもある労働時間管理の件
雇用契約を複数社と結ぶと労働時間を積算し、所定労働時間を超える分については残業代を支払うことが必要になります。
ですから、副業を認めている会社のほとんどが副業先と従業員間で雇用契約を結ばずに、業務委託契約を結ぶようにしています。
しかしながら、そもそも労働時間積算をする理由は過労にならないために労働時間を管理することにあるわけで、業務委託契約にしたからといって、過労が起こらなくなるわけではありません。
業務委託契約にしても根本の問題は解決しないので、副業で過労死が起こればこの業務委託契約の問題点も議論されることになるかもしれません。
副業は、別にやってもやらなくてもいいわけです。副業をしたいという人は自分のスキルを磨きたい、収入を増やしたいなど理由を持って行っています。労働時間が増えても実現したいことがあるのです。
副業はある程度の自己管理が前提にあることを留意したうえで、どのような労働時間の管理が良いかを議論することが必要になると思います。
2-2.副業マッチング
2つ目は副業をしたいという人と副業を受け入れたいという企業のマッチングです。
現在はビズリーチなど人材紹介会社がサービスとして提供しているケースがありますが、メジャーなサービスは出てきていません。
人材紹介会社のビジネスモデルは、転職したい個人と企業をマッチングして、年収の一定割合を報酬として受け入れるというものです。
副業に同じスキームを適用してもいいのでしょうが、副業ですから、転職の年収とは比較にならないほど少額しか報酬を得られないということになります。かかる手間は転職の斡旋と副業の斡旋で一緒ですが得られる報酬は格段に少ない、事業としてうまみがないのでしょう。
但し、このマッチングのスキームが広がらないと、なかなか副業が進んでいかないと思います。
副業はある程度の失敗も許容範囲ですから、低コストで運営できる仕組みを構築し、事業として成り立たせることが必要だと思います。
以上です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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